投稿日 2020-01-25 最終更新日 2021-11-16
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冒険心をくすぐられる!身近な“異世界”
地球上には遥か昔から、永い永い年月をかけて作り上げられた芸術が数多く存在しています。そんな芸術の中でも私が特に惹かれるのが洞窟や鍾乳洞。
地下空間だったり山の中だったり、“地球の内部にお邪魔する”感じが冒険心をくすぐられてワクワクします。
全国を網羅している公的な情報サイトは見つけられなかったのですが、じゃらんの鍾乳洞特集でも29カ所が掲載。
また殆どリンク切れになっていたので紹介しませんが全国の洞窟や鍾乳洞を紹介しているサイト(更新は2013年で止まっている様子)では129カ所が掲載されておりました。
観光用ではなかったり一般には公表されていなかったり、地元の方しか知らない小さな場所、まだ発見されていなかったりするものを合わせると、意外ととっても身近にある“異世界”なのかもしれません。
今回はそんな冒険心をくすぐられる鍾乳洞の一つ、8,000万年という長い年月をかけて創られた福島県田村市の「あぶくま洞」をご紹介したいと思います。
冒険の前に…
観光鍾乳洞は整備されているので各鍾乳洞の注意事項を守れば大きな危険はないと思います。
ただ観光用とはいえ大自然。人間の都合通りにはまいりません。
行かれる際は歩きやすい靴、中は寒いので例え夏でも体が冷えないようにウインドブレーカーなどを用意していきましょう。
また鍾乳洞内は基本人の気配がありません。万が一を考慮し必ず誰かと一緒に行きましょう。暗所恐怖症の方もオススメしません。
この他、各鍾乳洞などの注意事項に従って、どうぞ皆さま安全な冒険を!
まるで冷蔵庫!夏でもひんやり別世界
国内の鍾乳洞訪問は記憶している限り6つ目。しっかりした歩き回れる靴と、寒さ対策用のウィンドブレーカーの準備ばっちりで臨みます。
訪問したのは9月上旬。田村市は山に囲まれているので比較的涼しい場所だと思いますが、曇っていても蒸し暑い一日でした。
特に暑い日だと内部に入る直前まで毎回思うのです。
「ウィンドブレーカー…本当に必要かな?」
ところが一歩入ると空気はすぐ冷気に。目には見えないけれど“空気の境目” を感じます。そして三歩も入ればそこはもう外とは完全に別世界。急な寒さが襲ってきます。
あぶくま洞の内部は15℃。急に体感気温が半分以上下がりました。これはもう「涼しい」どころではないです。「さっむ!さっむ!」です。
水の音が鳴り響く、地球の“内側”
さきほどまで耳に入っていた鳥や木々の音がなくなり、内部はぴちょーん…ぴちょーん…と水の音が反響。他の観光客の方もいるのですが、少し距離が離れるとあっという間に人の気配を感じなくなります。
水があるのに生き物の気配がしないということも、とても不思議な感覚になります。
内部は思わず「ほう…」とため息が出る荘厳さ。
それはまるで神殿のようにも見えます。別の地下世界へ向かう“ファンタジー”がここにはあります。
探検コースはまさにダンジョン
あぶくま洞の一般コースは600m。進んでいった『洗心の池』手前で探検コースの入り口があります。受付の方がいるので料金を払い進んでいきます。
この探検コース120mと短めですが、かなり細い道や低い部分を進むので、“本当に動きやすい恰好”“動ける方”以外はオススメしません。
文字通りの“探検”コース!
体を捻ったり「この先は進めるんだろうか?」というドキドキがあったり、目の前に迫る成長中の鍾乳石をじっくり見ることができたり…。
探検コースでは岩肌を触らないと進めないところも多いです。
地下水を常に纏っている岩肌。見た目にはとってもぬめぬめしていそうなのですが…「本当に岩に水がついているだけ」という感触でした。
まるでナウシカの巨神兵!不思議な不気味さ
暗闇の中で急にこれが現れたら、怖すぎて悲鳴も上げられないかもしれません。
思わず「ひー!」とおののいてしまいます。
そう、これはまるで映画ナウシカのクライマックスの溶けた巨神兵のような、おどろおどろしさ禍々しさを感じるかたち。
たまたまそういう形に地下水が侵食していっただけ…なのですが、神殿のように荘厳に感じたり、おばけのように不気味に感じたり、感覚とは不思議なものですね。
人間の拒絶を感じる世界
8,000 万年という気の遠くなるような長い年月をかけて形成されたあぶくま洞。
整備され人間が観光できる空間となっておりますが、ふと上を仰ぐと天井がわからないほど高く暗く、ぽっと空いている足元の横穴は奥が全く分からない程漆黒の闇が続いています。
ライトアップされているので内部の造形を見て感じることができますが、元々ここは太陽光の届かない完全な闇。
あぶくま洞内には洞穴の外でエサをとり生活をしているコウモリのほか、ヤスデ、カニムシ、トビムシ及びカマドウマが確認されているそうですが、それらの生き物を歩いていて視認したり感じることはできません。
“生命の気配を感じない”ことがこんなにも心細いこと。
太陽の光がなければ人間が住める世界とはまったく別の世界になること。
ただただ、生命の神秘を思います。
光の届かない場所に生きる、命の力強さ
そんな生命の気配のなさに心細くなりつつ進んでみると、なんとなんと、鍾乳洞の中に苔が!
太陽光はまったく届かない場所なのですが…蛍光灯の光だけで生えているようです。灯りの届く範囲にこのまま広がっていくのでしょうか?
説明がなかったのでどんな種類でどういう条件でここに生え始めたのかはわかりませんが、本当に不思議な光景です。
唯一発見した生命に、気持ちがホッとなりました。
8,000万年の時を超えて
人間には想像もできない程の永い永い年月、 一滴一滴の地下水が作った姿。
これから先また永い永い年月をかけ、少しずつ変化していくのでしょう。
ラストの「月の世界」と名付けられた場所では、暗闇から朝日が昇り夕陽が沈むまでそれはそれは幻想的なライトアップを見ることができます。
もちろん人工的な演出なのですが、そこには私たちの知らない住人がいるのではないだろうか、とふと思ってしまうような光景でした。
普段見慣れた世界とはまったく違う地球の内部。
8,000万年の月日のほんの欠片に触れ、その造形美、ワクワクドキドキする気持ち、静寂、生命の神秘…色々なものをぜひ体感してみてください。
洞穴を出た瞬間、きっと少しだけ“入る前”とは違う景色が見えると思います!
こんな人にオススメ!
友人、夫婦、家族
あぶくま洞
住所 | 〒963-3601 福島県田村市滝根町菅谷字東釜山1番地 |
電話 | 0247-78-2125 |
入場料 | 大人 (高校生以上) / 1,200円 中人 (中学生) / 800円 小人 (小学生) / 600円 ※探検コース一般料金に追加 / 200円 |
営業時間 | <4/1~6/22> 8:30~17:00 <6/23~9/30> 8:30~17:30 <10/1~11/22> 8:30~17:00 <11/23~3/13> 8:30~16:30 <3/14~3/31> 8:30~17:00 |
定休日 | 年中無休 |
ホームページ | https://abukumado.com/ |
※営業時間・価格は2020年1月現在のものです。あぶくま洞内の写真はコース順ではありません。
宇宙好きならこちらも!星の村天文台
あぶくま洞のすぐお隣には「星の村天文台」があります。
福島県最大の口径65cm反射式天体望遠鏡があるこちらは、夜の観望会、宇宙関係の講演会なども不定期開催されています。
宇宙関係のパネル展示や、なんと鉄隕石で作られた流星刀の展示も!じーっくり見られます。
また、あぶくま洞の出口には漫画『宇宙兄弟』のモザイクアートが展示。洞穴出口のものは外気に晒されて傷んでいるので、じっくり拝見するにはぜひこちらへ。
2016年気象衛星「ひまわり9号」を打ち上げたH2Aロケットに貼り付けられた『宇宙兄弟』ファンらの写真でできています。私もどこかにいます。
宇宙関連グッズもたくさん販売されておりましたので、宇宙好きの方はぜひお立ち寄りください☆
星の村天文台
住所 | 〒963-3602 福島県田村市滝根町神俣字糠塚60番地1 |
電話 | 0247-78-3638(代表) |
入場料 | ※見学無料 <プラネタリウム> 大人:500円 / 子供:300円 |
営業時間 | 10時00分から17時00分 (4月1日から9月末) 10時00分から16時00分 (10月1日から3月末) |
定休日 | 4月から11月まで:毎週火曜日 12月から3月まで:毎週火曜日・水曜日 |
ホームページ | http://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/20/hosihomura-osirase.html |
訪問日 2019/9ほか