大正から平成まで、暮らしを想う旧三井家下鴨別邸。~京都・下賀茂~

投稿日 2018-06-21 最終更新日 2021-05-08

今回は下賀茂神社に行く途中にある旧三井家下鴨別邸
下賀茂神社に向かうほんの少し出町柳側にあり、平成28年から一般公開が始まった、比較的新しい観光スポットの一つです。

大正14年に建築された三井財閥家の共有別荘

この旧三井家下鴨別邸。江戸時代の豪商であり三井財閥家の共有別邸として1925年(大正14年)に建築された建物で、2011年(平成23年)に重要文化財に指定され、2016年(平成28年)10月1日から一般公開が始まりました。

参考リンク
旧三井家下鴨別邸サイト参照
旧三井家下鴨別邸 | 京都市観光協会旧三井家下鴨別邸。

私は京都に行くとお店の方やタクシーの運転手さんとの会話で『今の時期ここがオススメだよ!』などで当日や前日行く場所を決めることが多いのですが、こちらもそんな一つ。

「あそこは知ってる?最近公開が始まったんだよ!」

と教えていただき、行った場所でした。
お店やタクシーの人と喋るとピンポイントで「今」おススメの場所、新しい場所、比較的混雑が少ない穴場スポットを教えてくださることもとても多いです。

平成19年まで所長宿舎として利用。生活の痕跡にも注目

さてさて、そんな旧三井家下鴨別邸。
三井財閥の別邸として建てられ、重要文化財指定、そして一般公開となるまでの間、1951年(昭和26年)~2007年(平成19年)まで京都家庭裁判所の所長宿舎として利用されていたとのこと!

大正時代に建築された家が比較的最近まで“人が住んでいた”ということを知ると、歴史的な視点だけではなく“住みやすさ”など身近な視点になる面白さがあります。

明治大正時代の建物で私が好きなポイントの一つは硝子窓。
人の手によって作られた当時の硝子は面が均一ではなくちょっと歪みがあり、レトロさを感じます。その硝子越しに見る外の世界は水中や氷の中からみているような揺らぎを感じて、今の硝子を通して見る世界とはまた異なった楽しさや味わいがあるなあと思います。
それが一番よくわかる写真はこちら。

このゆら~っとした見え方…硝子そのものや、硝子を通した世界の見え方が独特で好きです。繰り返しますが、水中や氷の中から世界をのぞいている感じ(^^)

障子と硝子を利用した、空間に溶け込む“絵画”

庭園を臨む広間は、障子が額縁に、硝子部分が絵になるような作り。
自然を切り取り建物の一部として取り入れる雅さを感じることができます。

季節ごとのうつろいや天候を感じられ、主屋と庭園が一体となった開放感。
訪れた日は雨でしたが、しっとりと濡れる木々はこれまた落ち着く穏やかな空間でございました。

切り取り方を変えると、また違う“絵”のように。

庭園にも降りることができます。綺麗に手入れがされていて、広く、これまた心落ち着く空間。

雪が積もった時には、この芝生の部分が真っ白に…。そのお写真も公式サイトに掲載されておりますので、ぜひご覧になってみてくださいね。

主屋の広間の赤いカーペットと硝子障子越しに見る白い庭園との対比も大変美しいです。雪が積もる時に滞在していたら、ぜひとも拝見したいものです。

庭園側から見る母屋も、素敵。レトロな硝子の“ゆらぎ”が外からも感じることができて、少しの時間タイムスリップした気分になります。

特別な空間、三階の望楼。

さてこの建物の、特に特別な部分に気付かれましたでしょうか。

そう、三階部分にある望楼です。
望楼とは、遠くを見るために建てられたやぐらのこと(コトバンクより)。

特別公開のときには登ることもできるのだとか。
四方を硝子窓に囲まれたこの特別な空間、京都をかなり広い範囲で見渡せるのではないでしょうか。

当時硝子や天板はとても高価なものだったということで、三井財閥の財力をうかがうこともできますね。サイトに掲載されている写真を拝見しただけでも、とても綺麗!

特別公開は公式サイトで告知されると思いますので、行って見たい方はぜひチェックしてみてくださいね。

ちなみに主屋は元々は鴨川下流の東岸の木屋町にあったものを移築したそうで、この望楼はとても目立っていたんでしょうね。

詳細は三井広報委員会のサイトからご覧ください。
旧三井家下鴨別邸|三井の歴史にまつわる施設|三井広報委員会

生活を感じる面白さ。

お風呂は現代のものと比べると、ちょっと狭くて寒そうな感じがあります。昔のお風呂って、深いんですよね!
平成の時代でこういうお風呂で過ごすのはちょっと大変そうだな…などと、生活部分を拝見できるのも楽しさです。

小さい写真しか残っていなかったのですが、こちらの摺り硝子は縦部分が台形になっています。ちょっとした部分に、建築当時の“おしゃれなこだわり”が垣間見えますね。

恐らく官舎になった時に使われていた玄関や

洗面所。
使いやすいように水道部分などは変更されていると思いますが、鏡やライト、歯ブラシ置き場などは建築当時からの作りを生かしているのではないでしょうか。(このあたりは正確な情報を尋ねたわけではないので間違っていたらすみません)。

ちなみに2階や茶室は普段入ることはできませんが、会議や茶会利用をすることができるそうですよ。

主屋2階・茶室の貸出について 旧三井家下鴨別邸 | 京都市観光協会

また、夜の主屋を楽しめる夜間開館や、過去にはライトアップイベントなどもあるそうなので、併せてチェックしてみてください。

旧三井家下鴨別邸

住所京都市左京区下鴨宮河町58番地2
開館時間9時~17時 / 16時30分(受付終了)
休館日水曜日及び12/29~12/31 ※水曜が祝休日の場合はその翌日
入館料大人410円/中高生300円/小学生200円
アクセス京阪電車・叡山電鉄「出町柳駅」下車徒歩約5分
市バス1・37・205系統「葵橋西詰」下車徒歩約5分
市バス1・3・4・17・201・203・102系統「出町柳駅前」下車徒歩約5分
ホームページhttps://www.kyokanko.or.jp/mitsuike/index.html