2023夏、和歌山幕末歴史巡りと旬の美味

投稿日 2023-08-21 最終更新日 2023-08-21

サマータイムレンダ聖地巡礼2023~慎平のカレーと加太&友ヶ島で訪れた2023年7月の和歌山。2022年に徳川巡りをした前回(其の壱はこちら / 其の弐はこちら)、今回は幕末関連中心に史跡名勝巡りをご紹介します。

JR和歌山駅地下にある観光案内所で電動自転車をレンタルし、ぐんぐんと南へ。都内ではずっと体温を越える猛暑日が続いていたので気温30度でも涼しく海風もあり気持ちよく感じました(体って暑さに慣れるものなのですね…)。

和歌山の偉人、陸奥宗光公生誕地へ

岡公園の銅像を拝見し徳川家墓所に行った前回。「もう少し行けば生誕地では」と思いつつ歩き疲れてお伺いできなかった生誕地へ向かいます。そして正直に言うと「歩かなくてよかった…」というなかなかの距離でした。和歌山は広い…

2017年に新しく建てられた碑

歴史に関連する場所は、人物や場所、出来事に対する想像力を広げてくれます。お城までの距離、海までの距離。陸奥さんはここで生まれ育ち、何を見て何を想い、どんな気持ちで世界を見、近代日本を作る一人となったのか。

陸奥さんを敬愛する現代人々の想いも感じる場所でした。

陸奥宗光、没後120年の命日 生誕地・和歌山に石碑が完成(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20170825-ERCNXSPOZNISVEUYAJXJ2B72PE/

陸奥宗光伯生誕地

住所和歌山県和歌山市吹上3丁目2

和歌山が砂地であった痕跡を見る、水軒堤防

どんどん道路を進み養翠園の近くまで行くと「水軒(すいけん)」という信号があり、「ここは昔水軒堤防があった」という説明が道路に現れました。

水軒という地名は珍しいなと思いながらさらに進んでいくと、移築された水軒堤防が出現。

「現在は松林の砂丘におおわれている」という一文から和歌山が砂地であった(今もそう)ということが伺えます。

堤防を築いた目的は記録に残っていないそうですが、景勝地である和歌浦や吹上の地や藩主の別邸があった西浜を守るためではないかと推測されているようです。

汐入の池が珍しい、名勝・養翠園

水軒堤防移築後からすぐ、遂にやってきました前回の心残り養翠園!

なんて美しい景観でしょうか。

想像通りの広大で美しい風景が目の前に広がります。貸し切り状態で心のままに歩きまわり、気分はまるで藩主です(笑)。

山の風景を意識しながら、海を感じる

海のすぐ近くに造りながら山で見せる庭園。よく見る回遊式庭園でありながら香りは海、という他にはあまり例を見ない不思議な庭園です。

「汐入の池」の文字通り海水を引いているので池に鯉は泳いでいません。

池の中をよく見ると、小さな巻貝や蟹、そしてなんと牡蠣が…!

湊御殿も必見

こちらも多分珍しい三ツ橋(写真左上)、そして藩主が訪れるための御船蔵跡(写真右下)。どこを切り取っても絵画のような美しさにため息がもれました。

二度移築され今の場所に至る、藩主の別宅であった湊御殿。

壁紙は修復され新しいものになってはいますが、柄は当時と同じもの。この壁紙がこれまた他であまり見ない面白さ。海の近くであるため波や松をイメージしている柄なのですが、濃い青で描かれた紋様は北欧を思わせるのです。現代人が見たらモダンさが潜む日本家屋、ぜひ忘れずお立ち寄りください。

養翠園

ホームページhttps://yosuien.com/
住所和歌山県和歌山市西浜1164
営業時間通年9:00~17:00(※1/1のみ11:00~17:00)
アクセス<車>
阪和自動車道和歌山ICから20分 / 駐車場有
<電車・バス>
JR和歌山駅より雑賀崎方面行き30系統「養翠園前」で下車、徒歩約7分
入園料中学生以上600円 / 小学生以下300円
養翠園入園者は湊御殿の観覧が無料(レシート提示)
そのほか養翠亭は私亭のため原則不可。ただし茶道同好の士や学問の為の場合は事前予約申し込み可とのこと。詳細はホームページから。

雑賀の海と和歌の浦を一望、美しい番所庭園

養翠園から少し行った場所にある番所(ばんどこ)庭園。「ばんしょ」ではなく「ばんどこ」と読みます。

こちら、今回の旅で最も心に残った、本っっっ当に「行って良かった」な場所でした!

目的地である養翠園から近いこと、黒船の見張り所=幕末関連ということ、多くの時代劇のロケ地という3つの理由で決めた番所庭園。ちょっと山道らしい坂ではありましたが電動自転車のおかげでなんのその。

万葉に詠われた美しい景観

藤原卿が詠んだ歌(ちなみに「藤原卿」の「卿」は名前ではなく官職にある人への敬称なので藤原房前かまたは麻呂かは現在のところはっきりしていないよう)。

紀の国の 雑賀の浦に 出で見れば 海女の燈火 波の間ゆ見ゆ

庭園に入る前、坂道の上から見える景色の美しさに既に圧倒されます。

美しい。あまりにも、あまりにも美しい…!

雄大な海、庭園の先にある双子島。海の近くでしか見ない植物たち。丁寧にお手入れされた庭が、隅々まで美しく出迎えてくれます。

ここから見える燈火はそれはそれは幻想的に輝いていたのではないでしょうか。

後方には雑賀崎灯台も

ちなみに写真左上のハマユウは沿岸部の砂丘で自生している植物で、ここでも「和歌山が砂丘」であることがわかります。

黒船の見張りどころ

幕末当時は大坂湾に入る黒船を見張っていた場所。地形を考えると、当時は非常に緊張感のある場所だったことでしょう。

しかし現代はただただ海風を感じ波の音を聴き、視界に入る島や海の美しさを五感で感じられる場所

歌を詠わずにはいられなかったその心、「わかる」です。

(なかなかここまで自転車で行く人はいないでしょうが)途中立ち寄ったスポットの滞在時間を除き、JR和歌山駅から電動自転車で大体1時間。車でも道が狭く少し行きにくい場所ではありますが、この絶景はぜひとも目に焼き付けていただきたいと思いました。

バーベキューやウエディングもできる絶景スポット。本当にオススメです!

ちなみにちょっと上の雑賀崎灯台は雷が鳴り始めたため断念。

番所庭園

住所和歌山市雑賀崎番所ノ鼻           
営業時間4月-8月 / AM8:30-PM5:30
9月-3月 / AM8:00-PM5:00
※最終入園は閉園30分前まで
定休日年中無休(但し荒天時は臨時休園する場合あり)
駐車場27台(有料) / 大型バス不可
ホームページhttp://www.banndoko.com/

日本のアマルフィ雑賀崎漁港や雑賀崎台場

もう少しゆっくりしたかったのですが、雷がゴロゴロ鳴り始め雨がポツポツ降り始め。自転車のレンタル返却時間も考慮しそろそろ帰還した方が良いと判断。大急ぎで和歌山駅に向かいます。

写真の空結構明るいんですが、雷ずっと鳴ってるわ雨は降るわで被雷したらヤバイなかなか難しいお天気でした…。

ちなみに番所庭園に行く手前には幕末期の史跡、雑賀崎台場へ向かう小道があります。入る道は鬱蒼としていて周囲には廃旅館があり、距離もありそうなのでここを一人で分け入ってく勇気はないな…と断念しました(台場周辺はよく手入れされていそうではありましたが)。