渋沢栄一翁出身の地 埼玉県深谷市血洗島『青天』巡り

歴史に思いを馳せるとき、現地に行って土地そのものや今も残っているものを感じたい私。
2021年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一氏が生まれ育った血洗島に“大河ドラマ放映中に何としても”と急ぎ計画を立て行ってまいりました!

予め計画を立てるとなぜか雨になってしまう私なので写真は「青天」とはなりませんでしたが(涙)、渋沢さんが生まれ育った場所、距離感、地元への想いなどをめいっぱい感じることができました。

埼玉県深谷市血洗島を、巡った順に紹介してまいります。

すべてはここから。渋沢栄一生誕地「中の家(なかんち)」

血洗島で生まれた栄一さん。その生誕地には栄一さんの妹てい夫妻によって上棟された「中の家(なかんち)」があります。
中庭や外観、裏手を見学することができます。

“生家”ではないのは、明治20年に養蚕拡大のために建て替え明治25年には火事で焼失されているからだそう。後述する渋沢栄一記念館の資料によれば、この時家を建てるお金を栄一さんがすぐに出したようです。

栄一さんが帰省の際は寝泊まりされた家。きっと幕末当時も大変立派な家だったんだろうな…と想像します。

そして!なんと現在プレ公開中の渋沢栄一アンドロイド2号(和服Ver)にお会いすることができました!

「天候により」とあったので、豪雨なので会えないだろうな…と思っていたら。
鎮座していらっしゃいました…!すごいグリグリ顔が動いていて、目線をいただくことができました。

“再現度”というと変な言い回しですが、髪、顔や首の皴間のリアルさが遠目から見ても凄かったです…!

裏手には父 市郎右衛門、母 えい、養子 平九郎の招魂碑が並びます。
家族への想いを感じる招魂碑。説明文もぜひじっくりご覧ください。

旧渋沢邸「中の家(なかんち)」

住所深谷市血洗島247-1
開館時間9:00~17:00 (入場は16:30まで)
休館日年末年始 (12月29日~1月3日)
入館料無料
駐車場
ホームページhttp://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/bunkaisan/1425343509929.html

一度に見学する際の人数制限(30分あたり75名まで)、消毒設置、都道府県と人数の記入有

さらっと優しい煮ぼうとう、麺屋忠兵衛

「中の家」の真隣にある煮ぼうとう専門店、麺屋忠兵衛。

“ほうとう”というと山梨県の郷土料理で煮込まれて濃厚なものを思い浮かべていましたが、深谷の郷土料理である煮ぼうとうはもっちりした麺に優しいおつゆ。具沢山で甘みもあって、雨で冷えた体に染み渡りました。

渋沢栄一さんが愛した深谷の煮ぼうとうの特徴は幅広の麺、深谷ネギ。そして生麺の状態から煮込むことで生まれる適度なとろみだそうです(深谷市の煮ぼうとうのページに飛びます)。

平日でも並ぶことがある人気店。観光客のみならず地元の方もいらっしゃるお店のようです。

店内には栄一さん直筆の『天胃重夕陽人間貴晩晴』の掛け軸があります。
「人の一生におろそかにしてよいという時にはない。一分一秒といえでも貴重な時間に相違ないが、その中でも人間は晩年がもっとも大切ではないかと思う」「若い時には欠点があった人でも、晩年が美しければその人の価値が上がるものである」といったことが書かれています。

栄一翁の“夢七訓”が書かれたお箸袋の裏側とともに、ぜひご覧ください。

麺屋忠兵衛 煮ぼうとう店

住所〒366-0006 埼玉県深谷市血洗島247-1
営業時間11:00~14:00
座席数50席(子供椅子あり)
定休日渋沢栄一記念館臨時休館日および年末年始
ホームページhttps://www.shinyoshi.co.jp/menya.html

消毒設置、飲食時以外のマスク着用

「当時のまま」を感じて。尾高惇忠生家

幼少期から栄一さんに影響を与え、富岡製糸場の初代工場長だった尾高惇忠さん。栄一さんの最初の妻、千代さん。栄一さんの見立て養子となった平九郎さん。富岡製糸場初の女工となったゆうさん。そして青春時代を共に過ごした長七郎さん。

栄一さんに特別関り深い人が多い尾高家は、彼ら彼女らが過ごした頃のまま今も建っています。

惇忠さんの曽祖父が建てられたとのことなので230年程は経っているのでは…ということでした!
もちろん生活もされていたので内部は現代風になっている部分もありますが、この壁や柱は尾高家の人々の成長も見て来たんだなあ、と思うと感慨深いです。

二階は完全非公開ですが、栄一さんはここに入り浸って日本の将来について喧々諤々していたんですねえ…。

「想像していた以上に近い」という距離でした。どういう位置関係にあったのか。距離感を感じられるのが現地に行く醍醐味であり、大切さです。

尾高惇忠生家

住所〒366-0002 深谷市下手計236
見学時間9:00~17:00
入館料無料
休館日年末年始 (12月29日~1月3日)
駐車場
ホームページhttp://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/bunkaisan/1425344439348.html

入館人数制限あり、入館時の検温消毒、都道府県名と人数の記入有

お祝いで建設された美しい誠之堂(せいしどう)、清風亭

誠之堂渋沢栄一さん喜寿のお祝いに第一国立銀行の行員たちの出資によって贈られた建物です。
飛鳥山の青淵文庫、晩香蘆もそうでしたが、お祝いで建物贈られるとか凄いですよね。

煉瓦造りの非常に美しい建物で、暖炉にあたる外観の飛び出た部分には「喜寿」の文字があしらわれています。ちなみにこの誠之堂を建築された田辺淳吉さんは大正を代表するモダン建築家。飛鳥山の青淵文庫、晩香蘆も設計されました。

煉瓦の並びがオシャレなんですよね~!

フランス積みとイギリス積みを組み合わせてこの美しさになっているそうです。

室内、ステンドグラスや天井のレリーフなどがとても美しく、温かみのある建物です。

清風亭は第一国立銀行の行員でシャンドの伝習生で初期の銀行づくりに携わった、大正時代の頭取であった佐々木勇之介さんの古希のお祝いで同じく贈られた建物。

こちらは誠之堂の設計をした田辺さんの右腕、西村好時(よしとき)さんの設計。

ドレスを着た貴婦人がパーティーでもしていそうなテラスです。