投稿日 2018-03-29 最終更新日 2021-05-03
京都で桜といえば、関東圏で毎年流れるJR東海の「そうだ、京都いこう。」。
毎年紹介される美しい桜の名所の数々。あのCMに誘われてフラリと出かけてしまう方も多いことだろう。
満開の桜が咲き誇る神社仏閣は、想像以上に美しい光景が広がっている。
桜は時期の見極めが難しいが、その時期に行くことのできる方は思い切り楽しんでいただきたい。
さて、そんな桜の名所を楽しめることもできる観光船がこのたび復活することとなった。
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桜満開の琵琶湖疏水に観光船 本格運航スタート
琵琶湖疎水は琵琶湖から京都市内までの水道や水運、下水道、水車の動力などを目的として明治維新後人口減や産業の衰退した京都に活力を取り戻すため造られたものだそう。
この疎水の整備には大河ドラマ「八重の桜」の主人公 新島八重の兄・山本覚馬氏も携わった――というとぐっと身近に感じられる方も多いのではないだろうか。
明治27年から京都に資材を運んだり旅客船などで賑わっていたものの、自動車や鉄道などの急速な発達により昭和26年の運搬船が最後となっていたそう。
その船が、67年振りに復活したというのだ。
乗れる方、なんて羨ましい!
なかなか予約と行かれるタイミングが合うことが難しそうではあるが、今後チャンスはありそうなので私も必ず乗ってみたいものである。
さて疎水船は未体験なので、今回は疎水に関係するポイントをご紹介しようと思う。
てくてくと歩いて巡る山科疎水
京都側の疎水のポイントである山科駅と蹴上駅周辺だ。
山科駅を降りて住宅街を通っていくと京都側の疎水ポイントに辿り着くことが出来る。観光地ではない住宅街の中を通っていくのだが、今の時期途中にある学校の桜などもきっと美しいと思うので京都市内の喧騒を離れそれらを楽しみながらのんびりと歩いてみるのも良いと思う。
山科の疎水ポイントには桜並木が広がっている。
私が行った年には菜の花も一緒に咲いており、桜の薄紅と菜の花の黄色、山と川の碧色が見事だった。
上流へ向かうと琵琶湖方面へと続くトンネルがある。ここから伸びている2本のライン、これが船が通るルートだ。明治から続いているこのラインを復活した疎水船が通るのだろう。
長い時を超えて明治から先人たちが通ってきたのと同じラインを通るのだと思うとワクワクする。
ここでのお花見を楽しんだら駅へと戻り、次は蹴上駅へ向かおう。
蹴上駅の出口を出て南禅寺方面へと歩いていくと右側頭上に桜並木が見えてくる。そこが、船を運んでいた蹴上インクラインだ。
インクラインとは、傾斜面にレールをひき、動力で台車や貨物を運ぶ設備の事(コトバンク参照)。
真っすぐな斜面、伸びたレール、そして両側の桜並木はとても美しいスポットの一つ。
…ここで見事なまっすぐの桜とレールの1枚をアップしたかったのだが、やはりお花見スポット、写っている方々のお顔を隠すべく加工するともう桜もレールもわからないよ!という写真になってしまうので『真っすぐ』がわかる写真を1枚お送りします。
途中には疎水船も置いてあり、その大きさや雰囲気など当時の様子を感じることができる。
また、このレールの中には日本に最初に入ってきたというイギリスの“いぬ釘”が隠れている。
タモリさんも大変喜んでいた“いぬ釘”、『本当に犬の頭の形だ!』と感動するのでブラブラと歩きながら探してみてはいかがだろうか。
今回は山科駅、蹴上駅で桜と共に見られるポイントをご紹介したが、浜大津から蹴上駅まで琵琶湖疎水を歩くガイドツアーなども時々開催されている。歩きながら疎水の大事業の凄さや自然を満喫するのはとても気持ちよさそうなので、タイミングとお時間があればそれらもチェックしてみて欲しい。
(ちなみに筆者は山科から浜大津方面の途中まで歩いたことがあるのですが、スマフォ時代とはいえ少し山の道や観光地ではない住宅街を含んでいるので一人で歩くのは個人的にはあまりオススメしません。時間もかかるので土地勘のある方と一緒かガイドツアーなどが安全面でも良いと思います。)
琵琶湖疎水の役割を学ぶ
折角疎水ポイントを追いかけてきたのなら交差点の南禅寺方面への道の反対にある『疎水記念館』に寄ってみるのも良いだろう。こちらでは琵琶湖疎水の建設計画から役割、歴史、史料などを知ることができる。
疎水記念館の北西側の端から平安神宮方面を臨めるポイントがある。ここを通って更に京都中心部、神宮丸太町駅近くまでたくさんのものが運ばれていったのだ。
明治維新以降の京都が先人たちによってどんな風に発展を遂げてきたのか、その苦労や功績などを知ることができるだろう。
琵琶湖疎水記念館
住所 | 〒606-8437 京都市左京区南禅寺草川町17 |
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開館時間 | 9時~16時30分または17時 (季節によって閉館時間は異なる) |
定休日 | 月曜日休館 (祝日の場合は翌日休館) |
入館料 | 入場無料 |
ホームページ | https://biwakososui-museum.jp/ |
南禅寺には赤レンガのアーチが美しい水路閣がある。こちらはインクラインへ続くちょっとした山道を通るとその水路の“上側”を見ることができるので、お時間があればあわせてどうぞ。
最後に。最近桜の枝が折られるというニュースが流れています。
桜の花はとても美しく手元に欲しくなってしまう気持ちはわかりますが、折られてしまうとそこから傷んでもうその桜は咲くことができなくなってしまうこともあります。来年もその先もずっと美しい景色を見るために目で楽しむだけに留めておきましょう。今の時期お花屋さんで買える桜の枝もあるので、どうしても欲しい人はそちらでネ。