渋沢栄一翁出身の地 埼玉県深谷市血洗島『青天』巡り

投稿日 2021-11-11 最終更新日 2024-01-01

歴史に思いを馳せるとき、現地に行って土地そのものや今も残っているものを感じたい私。
2021年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一氏が生まれ育った血洗島に“大河ドラマ放映中に何としても”と急ぎ計画を立て行ってまいりました!

予め計画を立てるとなぜか雨になってしまう私なので写真は「青天」とはなりませんでしたが(涙)、渋沢さんが生まれ育った場所、距離感、地元への想いなどをめいっぱい感じることができました。

埼玉県深谷市血洗島を、巡った順に紹介してまいります。

すべてはここから。渋沢栄一生誕地「中の家(なかんち)」

血洗島で生まれた栄一さん。その生誕地には栄一さんの妹てい夫妻によって上棟された「中の家(なかんち)」があります。
中庭や外観、裏手を見学することができます。

“生家”ではないのは、明治20年に養蚕拡大のために建て替え明治25年には火事で焼失されているからだそう。後述する渋沢栄一記念館の資料によれば、この時家を建てるお金を栄一さんがすぐに出したようです。

栄一さんが帰省の際は寝泊まりされた家。きっと幕末当時も大変立派な家だったんだろうな…と想像します。

そして!なんと現在プレ公開中の渋沢栄一アンドロイド2号(和服Ver)にお会いすることができました!

「天候により」とあったので、豪雨なので会えないだろうな…と思っていたら。
鎮座していらっしゃいました…!すごいグリグリ顔が動いていて、目線をいただくことができました。

“再現度”というと変な言い回しですが、髪、顔や首の皴間のリアルさが遠目から見ても凄かったです…!

裏手には父 市郎右衛門、母 えい、養子 平九郎の招魂碑が並びます。
家族への想いを感じる招魂碑。説明文もぜひじっくりご覧ください。

旧渋沢邸「中の家(なかんち)」

住所深谷市血洗島247-1
開館時間9:00~17:00 (入場は16:30まで)
休館日年末年始 (12月29日~1月3日)
入館料無料
駐車場
ホームページhttp://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/bunkaisan/1425343509929.html

一度に見学する際の人数制限(30分あたり75名まで)、消毒設置、都道府県と人数の記入有

さらっと優しい煮ぼうとう、麺屋忠兵衛

「中の家」の真隣にある煮ぼうとう専門店、麺屋忠兵衛。

“ほうとう”というと山梨県の郷土料理で煮込まれて濃厚なものを思い浮かべていましたが、深谷の郷土料理である煮ぼうとうはもっちりした麺に優しいおつゆ。具沢山で甘みもあって、雨で冷えた体に染み渡りました。

渋沢栄一さんが愛した深谷の煮ぼうとうの特徴は幅広の麺、深谷ネギ。そして生麺の状態から煮込むことで生まれる適度なとろみだそうです(深谷市の煮ぼうとうのページに飛びます)。

平日でも並ぶことがある人気店。観光客のみならず地元の方もいらっしゃるお店のようです。

店内には栄一さん直筆の『天胃重夕陽人間貴晩晴』の掛け軸があります。
「人の一生におろそかにしてよいという時にはない。一分一秒といえでも貴重な時間に相違ないが、その中でも人間は晩年がもっとも大切ではないかと思う」「若い時には欠点があった人でも、晩年が美しければその人の価値が上がるものである」といったことが書かれています。

栄一翁の“夢七訓”が書かれたお箸袋の裏側とともに、ぜひご覧ください。

麺屋忠兵衛 煮ぼうとう店

住所〒366-0006 埼玉県深谷市血洗島247-1
営業時間11:00~14:00
座席数50席(子供椅子あり)
定休日渋沢栄一記念館臨時休館日および年末年始
ホームページhttps://www.shinyoshi.co.jp/menya.html

消毒設置、飲食時以外のマスク着用

「当時のまま」を感じて。尾高惇忠生家

幼少期から栄一さんに影響を与え、富岡製糸場の初代工場長だった尾高惇忠さん。栄一さんの最初の妻、千代さん。栄一さんの見立て養子となった平九郎さん。富岡製糸場初の女工となったゆうさん。そして青春時代を共に過ごした長七郎さん。

栄一さんに特別関り深い人が多い尾高家は、彼ら彼女らが過ごした頃のまま今も建っています。

惇忠さんの曽祖父が建てられたとのことなので230年程は経っているのでは…ということでした!
もちろん生活もされていたので内部は現代風になっている部分もありますが、この壁や柱は尾高家の人々の成長も見て来たんだなあ、と思うと感慨深いです。

二階は完全非公開ですが、栄一さんはここに入り浸って日本の将来について喧々諤々していたんですねえ…。

「想像していた以上に近い」という距離でした。どういう位置関係にあったのか。距離感を感じられるのが現地に行く醍醐味であり、大切さです。

尾高惇忠生家

住所〒366-0002 深谷市下手計236
見学時間9:00~17:00
入館料無料
休館日年末年始 (12月29日~1月3日)
駐車場
ホームページhttp://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/bunkaisan/1425344439348.html

入館人数制限あり、入館時の検温消毒、都道府県名と人数の記入有

お祝いで建設された美しい誠之堂(せいしどう)、清風亭

誠之堂渋沢栄一さん喜寿のお祝いに第一国立銀行の行員たちの出資によって贈られた建物です。
飛鳥山の青淵文庫、晩香蘆もそうでしたが、お祝いで建物贈られるとか凄いですよね。

煉瓦造りの非常に美しい建物で、暖炉にあたる外観の飛び出た部分には「喜寿」の文字があしらわれています。ちなみにこの誠之堂を建築された田辺淳吉さんは大正を代表するモダン建築家。飛鳥山の青淵文庫、晩香蘆も設計されました。

煉瓦の並びがオシャレなんですよね~!

フランス積みとイギリス積みを組み合わせてこの美しさになっているそうです。

室内、ステンドグラスや天井のレリーフなどがとても美しく、温かみのある建物です。

清風亭は第一国立銀行の行員でシャンドの伝習生で初期の銀行づくりに携わった、大正時代の頭取であった佐々木勇之介さんの古希のお祝いで同じく贈られた建物。

こちらは誠之堂の設計をした田辺さんの右腕、西村好時(よしとき)さんの設計。

ドレスを着た貴婦人がパーティーでもしていそうなテラスです。

2つとも明治大正を感じさせるモダンな建物で、とても素敵でした。

どちらもパーティーが始まりそうな空間。窓から入ってくる光も美しく、外の木々の色づきで季節を感じられます。

こちらは大寄公民館の敷地内にあり、受付をしないと入ることができません。

※カーナビの設定住所が異なるようですので、行かれる際はご注意ください。また、受付は大寄公民館の事務所です

誠之堂(せいしどう)・清風亭

住所埼玉県深谷市起会110番地1(大寄公民館敷地内)
※カーナビ等は深谷市起会84-1(大寄公民館の住所)
開館時間9:00~17:00(入館は16:30まで)
入場料無料
ホームページhttp://www.city.fukaya.saitama.jp/kanko/kanko/seisido_seifutei/1391497434025.html

入館時の検温消毒、氏名連絡先記入有

血洗島「中の家」セット、小道具、たっぷりの映像。深谷大河ドラマ館

※2022年1月10日(土)までの開館となります
※動画及びサインは撮影禁止、本記事掲載の写真はいずれも撮影可能エリア・箇所のものです。

いやもうめちゃくちゃ、いえ、なっからぐるぐるしました!

大河ドラマの「中の家」!とっさまかっさま、姉さま、若かりし頃の栄一、喜作、千代もいます。
セットや小道具、衣装をまじまじと見られるのは嬉しいですね。

深谷大河ドラマ館の見どころはセットに加え映像!
オープニングや妙義山、獅子舞などのメイキングが観られるのですが、まず入口にあるオープニングだけで20分くらい経っていました(笑)

テロップのないオープニングは毎週見ているものとはまた違う没入感があります。
文字が入っていると人が動いている箇所に目が行きがちなんですが、墨の入り鳥の動き波の激しさ等々躍動感が凄い!このノンテロップオープニングはぜひとも円盤に入れて欲しいです。

そんな訳でようやくセットへ。小さな栄一君の「おっかいこ おっかいこ♪」は響きます。

ものすごくテンションあがったのはパリのエレベーター!
金属感を出す為の塗装メイキングパネルもありました。

パリの物産会や凱旋門のVFXはまだ詳細が決まっていない段階からチームで話し合って色々と組み立てていたそうです。ロケに行ったように見えるすごい“パリ編”でしたよね!

最低でも1時間は必要な大河ドラマ館でした。本当に楽しかったです。

渋沢栄一 青天を衝け 深谷大河ドラマ館(深谷生涯学習センター)

住所〒366-0822 埼玉県深谷市仲町20-2
開館時間9:00〜17:00(最終入館16:30まで)
駐車場200台
大河ドラマ館ホームページhttps://shibusawaeiichi-fukaya.com/
入館料普通入場券
大人(18歳以上)/ 800円
小中・高校生 / 400円
団体入場券(20名以上)
大人(18歳以上)/ 640円
小中・高校生 / 320円

※大河ドラマ館としての営業は2022年1月10日まで

入館時の検温消毒、氏名連絡先記入有

“小さな東京駅”⁉煉瓦風が美しい深谷駅

深谷に来たらやっぱりここは見ておかないと!ということでJR深谷駅へ。

東京駅をモチーフにしたこの駅舎は“ミニ東京駅”とも呼ばれています。

東京駅の煉瓦はこれまた渋沢栄一さんが作った日本煉瓦製造株式会社(かつて存在。本社は東京、製造は深谷)の煉瓦が使われています(旧煉瓦製造所も今回行っておりませんが、見学可能です)。

1996年の改装時に東京駅にあやかり現在のデザインになったとのこと。美しいですね!

夜間ライトアップもされるそうで、鉄道ファンのみならず夜に観光で訪れる方も多いのだとか。

駅前には渋沢栄一さんの像もありますのでそちらもお忘れなく!

JR深谷駅

住所〒366-0824 埼玉県深谷市西島町1丁目1

その功績や地元愛を知る、渋沢栄一記念館

そして血洗島の渋沢さんを巡る最終目的地、渋沢栄一記念館へ。
こちらでは主に明治に入ってからの渋沢さんの功績や手紙などを辿ることができます。

原則来館の2日前までに予約が必要となっていますが、なんと見学は無料

2024年から新一万円札となる渋沢栄一さんですが、伊藤博文さんと千円札の顔として競ったことがあり、当時の新聞が展示されておりました。
新聞の見出しは“伊藤博文と一騎打ち”。『青天を衝け』の伊藤博文さんと渋沢栄一さんで思い浮かべるとなんだかクスリとしてしまいます。

改めて、立ち上げた事業、養育院など立ち上げた福祉、外交役としての仕事の多さに驚くばかり。

このほか妹おていさん夫婦が火事に遭った際はすぐにお金を送ると連絡したり、息子の不祥事に対しての家族に対するお願いの手紙など、兄や父としての顔も垣間見ることができます。

また今回は予約が取れずお会いすることができませんでしたが、渋沢栄一さんのアンドロイドに講義を受けることもできます。

生誕180年にあたる節目の2020年に完成。
風貌を忠実に再現し、在りし日の渋沢栄一の考え方を今に伝えるアンドロイド。
再訪の際は講義を受けたいです。

アンドロイドには会えませんでしたが「道徳経済合一説」を演説している肉声は聞くことができます。

肉声が残っている渋沢栄一さん。肉声⁉
幕末であれほどの活躍を見せた方が、現代の我々が聞くことができる肉声が残ってるってなんだかとんでもないですね…!

『青天を衝け』ビジュアル

若い頃は(攘夷思想に傾いたように、恐らく多くの地方出身者と同じように)都会へ飛び出して何か成し遂げたいという気持ちの方が大きかっただろうなと想像しますが、記念館の資料に触れると、地元である血洗島をとても大切に思っていたんだろうなあ…と思います。

豪雨と時間の関係で回りきれなかったのですが、栄一さんが獅子舞を踊った諏訪神社にお祭りのたびに訪れて獅子舞を見ていたエピソードや写真は特に「地元愛」を感じました。

青淵公園側をのぞむ渋沢栄一像。その大きさに驚きます

渋沢栄一記念館

住所〒366-0002 埼玉県深谷市下手計1204
営業時間資料室 9:00~17:00
講義室(アンドロイド) 9:30~16:00(最終講義は15:30から)
休館日年末年始(12月29日から1月3日)
利用料金資料室、講義室の見学は無料
アクセス関越自動車道花園ICから約40分/本庄児玉ICから約30分
北関東自動車道太田藪塚ICから約40分
駐車場179台
ホームページhttp://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/kinenkan.html

原則2日前までに事前予約、入館時の検温消毒

深谷ネギや地元野菜、お土産はここで!道の駅おかべ

「おかべ」はドラマで出てきた岡部藩の「おかべ」です。

深谷市の野菜直売やお菓子、お土産品が盛りだくさんの道の駅。
深谷ネギや渋沢栄一さん関連のお土産は勿論、地元野菜や加工品、食事処もあります。

道の駅おかべでいただいたのはその名も「渋沢栄一ソフトクリーム」。
バニラソフトクリームに、栄一さんの大好物オートミールがふりかけられた逸品です。

オートミールがアクセントになっていて食感を楽しめます♪
またソフトクリームもコーンの下までぎ~っしり!思わぬボリュームに大満足でした!

道の駅おかべ

住所〒369-0201 埼玉県深谷市岡688-1
駐車場大型車 / 16台
普通車 / 264台(身障車2台)
定休日年中無休
営業時間直売所 / 8:30~19:00
物産所 / 8:00~19:00
ホームページhttps://www.michinoeki-okabe.jp/

消毒設置

廻ってみてビックリしたのですが、渋沢栄一さん関連の施設って無料で拝見できるところが多いんですよね。
大河の期間くらい入場料とっても良いのでは…なんて考えてしまいますが、これも渋沢栄一財団や栄一さんご本人の考えに沿ったものなのでしょうか。

感染症対策で各所事前予約や記入などはありますが、栄一さんが生まれ育った「血洗島」を、その距離感や土地を堪能することができました(豪雨でなければ「ここからほんの少し歩けば」という感じでもう少し巡りやすかったとは思いますが!)。

大河ドラマ館開館中はゆかりの地を巡りやすい「渋沢栄一 論語の里 循環バス(ページ下部)」も運行中。
お天気が良ければ「中の家、渋沢栄一記念館、尾高惇忠生家、諏訪神社」は徒歩圏内で巡りやすいと思いますので、ぜひとも大河ドラマ開館中にお出かけしてみてください。

「こういう場所で育ったんだ」「地元を大事にしていたんだ」を感じられた血洗島巡りでした!

こんな人にオススメ!

歴史好き、お一人様、友人、夫婦、カップル

訪問日 2021年11月9日