2023夏、和歌山幕末歴史巡りと旬の美味

投稿日 2023-08-21 最終更新日 2023-11-06

サマータイムレンダ聖地巡礼2023~慎平のカレーと加太&友ヶ島で訪れた2023年7月の和歌山。2022年に徳川巡りをした前回(其の壱はこちら / 其の弐はこちら)、今回は幕末関連中心に史跡名勝巡りをご紹介します。

JR和歌山駅地下にある観光案内所で電動自転車をレンタルし、ぐんぐんと南へ。都内ではずっと体温を越える猛暑日が続いていたので気温30度でも涼しく海風もあり気持ちよく感じました(体って暑さに慣れるものなのですね…)。

和歌山の偉人、陸奥宗光公生誕地へ

岡公園の銅像を拝見し徳川家墓所に行った前回。「もう少し行けば生誕地では」と思いつつ歩き疲れてお伺いできなかった生誕地へ向かいます。そして正直に言うと「歩かなくてよかった…」というなかなかの距離でした。和歌山は広い…

2017年に新しく建てられた碑

歴史に関連する場所は、人物や場所、出来事に対する想像力を広げてくれます。お城までの距離、海までの距離。陸奥さんはここで生まれ育ち、何を見て何を想い、どんな気持ちで世界を見、近代日本を作る一人となったのか。

陸奥さんを敬愛する現代人々の想いも感じる場所でした。

陸奥宗光、没後120年の命日 生誕地・和歌山に石碑が完成(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20170825-ERCNXSPOZNISVEUYAJXJ2B72PE/

陸奥宗光伯生誕地

住所和歌山県和歌山市吹上3丁目2

和歌山が砂地であった痕跡を見る、水軒堤防

どんどん道路を進み養翠園の近くまで行くと「水軒(すいけん)」という信号があり、「ここは昔水軒堤防があった」という説明が道路に現れました。

水軒という地名は珍しいなと思いながらさらに進んでいくと、移築された水軒堤防が出現。

「現在は松林の砂丘におおわれている」という一文から和歌山が砂地であった(今もそう)ということが伺えます。

堤防を築いた目的は記録に残っていないそうですが、景勝地である和歌浦や吹上の地や藩主の別邸があった西浜を守るためではないかと推測されているようです。

汐入の池が珍しい、名勝・養翠園

水軒堤防移築後からすぐ、遂にやってきました前回の心残り養翠園!

なんて美しい景観でしょうか。

想像通りの広大で美しい風景が目の前に広がります。貸し切り状態で心のままに歩きまわり、気分はまるで藩主です(笑)。

山の風景を意識しながら、海を感じる

海のすぐ近くに造りながら山で見せる庭園。よく見る回遊式庭園でありながら香りは海、という他にはあまり例を見ない不思議な庭園です。

「汐入の池」の文字通り海水を引いているので池に鯉は泳いでいません。

池の中をよく見ると、小さな巻貝や蟹、そしてなんと牡蠣が…!

湊御殿も必見

こちらも多分珍しい三ツ橋(写真左上)、そして藩主が訪れるための御船蔵跡(写真右下)。どこを切り取っても絵画のような美しさにため息がもれました。

二度移築され今の場所に至る、藩主の別宅であった湊御殿。

壁紙は修復され新しいものになってはいますが、柄は当時と同じもの。この壁紙がこれまた他であまり見ない面白さ。海の近くであるため波や松をイメージしている柄なのですが、濃い青で描かれた紋様は北欧を思わせるのです。現代人が見たらモダンさが潜む日本家屋、ぜひ忘れずお立ち寄りください。

養翠園

ホームページhttps://yosuien.com/
住所和歌山県和歌山市西浜1164
営業時間通年9:00~17:00(※1/1のみ11:00~17:00)
アクセス<車>
阪和自動車道和歌山ICから20分 / 駐車場有
<電車・バス>
JR和歌山駅より雑賀崎方面行き30系統「養翠園前」で下車、徒歩約7分
入園料中学生以上600円 / 小学生以下300円
養翠園入園者は湊御殿の観覧が無料(レシート提示)
そのほか養翠亭は私亭のため原則不可。ただし茶道同好の士や学問の為の場合は事前予約申し込み可とのこと。詳細はホームページから。

雑賀の海と和歌の浦を一望、美しい番所庭園

養翠園から少し行った場所にある番所(ばんどこ)庭園。「ばんしょ」ではなく「ばんどこ」と読みます。

こちら、今回の旅で最も心に残った、本っっっ当に「行って良かった」な場所でした!

目的地である養翠園から近いこと、黒船の見張り所=幕末関連ということ、多くの時代劇のロケ地という3つの理由で決めた番所庭園。ちょっと山道らしい坂ではありましたが電動自転車のおかげでなんのその。

万葉に詠われた美しい景観

藤原卿が詠んだ歌(ちなみに「藤原卿」の「卿」は名前ではなく官職にある人への敬称なので藤原房前かまたは麻呂かは現在のところはっきりしていないよう)。

紀の国の 雑賀の浦に 出で見れば 海女の燈火 波の間ゆ見ゆ

庭園に入る前、坂道の上から見える景色の美しさに既に圧倒されます。

美しい。あまりにも、あまりにも美しい…!

雄大な海、庭園の先にある双子島。海の近くでしか見ない植物たち。丁寧にお手入れされた庭が、隅々まで美しく出迎えてくれます。

ここから見える燈火はそれはそれは幻想的に輝いていたのではないでしょうか。

後方には雑賀崎灯台も

ちなみに写真左上のハマユウは沿岸部の砂丘で自生している植物で、ここでも「和歌山が砂丘」であることがわかります。

黒船の見張りどころ

幕末当時は大坂湾に入る黒船を見張っていた場所。地形を考えると、当時は非常に緊張感のある場所だったことでしょう。

しかし現代はただただ海風を感じ波の音を聴き、視界に入る島や海の美しさを五感で感じられる場所

歌を詠わずにはいられなかったその心、「わかる」です。

(なかなかここまで自転車で行く人はいないでしょうが)途中立ち寄ったスポットの滞在時間を除き、JR和歌山駅から電動自転車で大体1時間。車でも道が狭く少し行きにくい場所ではありますが、この絶景はぜひとも目に焼き付けていただきたいと思いました。

バーベキューやウエディングもできる絶景スポット。本当にオススメです!

ちなみにちょっと上の雑賀崎灯台は雷が鳴り始めたため断念。

番所庭園

住所和歌山市雑賀崎番所ノ鼻           
営業時間4月-8月 / AM8:30-PM5:30
9月-3月 / AM8:00-PM5:00
※最終入園は閉園30分前まで
定休日年中無休(但し荒天時は臨時休園する場合あり)
駐車場27台(有料) / 大型バス不可
ホームページhttp://www.banndoko.com/

日本のアマルフィ雑賀崎漁港や雑賀崎台場

もう少しゆっくりしたかったのですが、雷がゴロゴロ鳴り始め雨がポツポツ降り始め。自転車のレンタル返却時間も考慮しそろそろ帰還した方が良いと判断。大急ぎで和歌山駅に向かいます。

写真の空結構明るいんですが、雷ずっと鳴ってるわ雨は降るわで被雷したらヤバイなかなか難しいお天気でした…。

ちなみに番所庭園に行く手前には幕末期の史跡、雑賀崎台場へ向かう小道があります。入る道は鬱蒼としていて周囲には廃旅館があり、距離もありそうなのでここを一人で分け入ってく勇気はないな…と断念しました(台場周辺はよく手入れされていそうではありましたが)。

全国的に珍しい廃灯台も

友ヶ島・養翠園・番所庭園を語るWEBラジオもよろしければ

サマータイムレンダで訪れた加太・友ヶ島ですが、実は幕末には勝海舟が何度も訪れているという土地であることを後述する市立博物館で知りました。
主宰しております幕末ユニットのラジオでそのことを語っておりますので、よろしければあわせてお聴きください。

南方熊楠顕彰碑がある延命院など

本格的に雨が降ってきたので急ぎ和歌山駅方面へ向かいます。

わたくし「通ったことをない道を通ってみたい」という欲求(?)があり、バスや往路で通らなかった道を和歌山駅目指して斜めに向かって行きました。

神社やお寺に引き寄せられてしまう+夕立の後急に晴れたので途中にあった宇須井神社、延命院に立ち寄り。

波を描いていると思われる延命院の壁も必見です

宇須井神社は本当に地域の方々のための神社という雰囲気でしたので詳細は控えますが、延命院はなんとまだ新しい南方熊楠さんの顕彰碑が。2017年生誕150年を記念し建てられたものだそうです。南方先生の足跡を辿られて和歌山を訪れる方は、ぜひこちらへも。

生誕150年の熊楠 南方家菩提寺に顕彰碑(ニュース和歌山) https://www.nwn.jp/news/2017527_kumagusu/

延命院

住所和歌山県和歌山市鷹匠町6丁目9−1

飲んだ後に最高な『丸髙』の中華そば

自転車で和歌山市内を走り回りたくさん汗をかいた一日目。「やっぱり塩分摂取だよね!」ということで和歌山ラーメンをいただくことにします。

どこにするか散々迷い、今回お世話になったドーミーイン和歌山から近い『丸髙 中華そば』へ。

繁華街の中にあり年季の入った店構え。入りにくいお店かな…?とチラリと中を伺うとご夫婦で営まれている様子で中もとても清潔。安心して入ることができました。

今日は久しぶりにビール飲んじゃおうかな!と早寿司と一緒にお願いしたところ…

グラスまでキンキン!!!!!

こういうラーメン屋さんでビール用グラスキンキンて、なかなかない気がする…!大変嬉しく素晴らしい心遣いです。

さて丸髙さんの和歌山ラーメン。思ったよりもかなりアッサリさっぱりな味わい。

まだ和歌山ラーメン初心者の私、イメージではもっとトロリとしてるスープが「和歌山ラーメン」のイメージなのですが、こういうサラッと系もあるんですね。

個人的にはスープにもう少しとろみがある方が好みかも…と食べすすめていたのですが。これがビールが進むごとに味わいが変わってくるのです。

これはもしかして飲んだ後に締めでいただくのが最高の一杯なのでは?

ちなみにこちらのお店おでんも有名なのだそう。和歌山おでん、味わってみたいですね。

丸髙 中華そば 本家アロチ丸髙

住所和歌山県和歌山市中ノ店中ノ丁16−17
営業時間17:30〜27:00
定休日日曜日

躍動感ある吉宗公と、どこから見ても美しい和歌山城

今回の滞在では和歌山城に登城はしていないのですが、街のあちこちから和歌山城を激写しまくっていました。

角度によって違う美しさを見せてくれる和歌山城

各交差点からそれぞれ見た和歌山城の数々。違う表情を見せてくれます。

躍動感のある上様もたまりません!

夏メニューをたっぷり堪能させていただきました『小松原 博』

やっぱり確実に美味しいものが食べたい…!ということで前回大満足だった県庁近くの『小松原 博』さんに今回も伺いました。

コース予約制のこちらのお店、一人でも伺えるのがありがたいです。

前菜からデザートまで、夏を大満喫できる逸品の数々。丁寧な仕事と旬の美味に舌鼓をうちます。

特に美味しかったのが鮎のコンフィ。しかも丸々と太った子持ち鮎。絶品でございました。

夏真っ盛りのメニューに、今回も大満足でした!

小松原 傳

Rettyのページhttps://retty.me/area/PRE30/ARE121/SUB12101/100001657853/
住所和歌山県和歌山市小松原通1-1-7
電話073-488-1173
営業時間[月・火・金]18:00~23:00
[土・日・祝]12:00~15:00 / 18:00~23:00
定休日水曜日、木曜日

静けさが心地よい紀三井寺

3日目は一度行ってみたかった紀三井寺へ。こちらは桜の名所として大変有名なお寺です。平日、暑さもありこの日は大変静かでした。

紀三井寺に到着するまでに既に汗だく。ケーブルカーを利用して上まで登ります。

境内からは徳島が臨めました。思ったよりずっと近くに見えるのが驚きです。

邪気払い・病封じの「胡瓜封じ絵馬」

胡瓜封じとは弘法大師が伝えたとされる、胡瓜の中に病気を封じ込め邪気を払うもの。紀三井寺では絵馬として奉納できるようです。

病封じとなればいまこのご時世に願うことはひとつ。疫病退散の想いを込めてまいりました。

帰りはゆっくりと階段で。夏の陽差し、蝉の声、木漏れ日などなど気持ちの良いお参りでした。

紀三井寺

住所和歌山市紀三井寺1201
拝観料https://www.kimiidera.com/worship/
※ケーブルカー利用時など細かく分かれていますので紀三井寺の上記URL「拝観・料金」より確認してください
ホームページhttps://www.kimiidera.com/

毬手水と風鈴が涼しげ、多賀神社

和歌山中央郵便局でサマレン切手を購入し、お昼をいただくためにぶらくり丁へ向かっていると涼やかな風鈴の音が聞こえてきました。音に誘われた先をのぞくと黄色と青の爽やかな風鈴や風車が夏を奏でております。

手水場には可愛らしい花手水ならぬ毬手水が。

陶器やガラスの可愛い毬がたくさん

ちょうどお祭りの準備をされているようで境内の中の方まで伺うことはできなかったのですが、

昭和二十(1945)年、和歌山大空襲により神社は消失しましたが、鳥居のみは残り生き証人となっています。先祖からの講員名簿は地中に埋め保存し、助かりました。昭和二十九(1954)年、戦前規模の三分の一に縮小し神社は復興しました。「いのち神」お多賀さんの愛称で全国的に知名度があり「赤ちゃん命名」「縁結び」「安産祈願」「延命長寿」「開運隆昌」等の祈願参詣者が多く、今日に至ります。

多賀神社

全国的に有名な神社なのですね。次はゆっくり立ち寄ってみたいと思います。

多賀神社

住所和歌山市十番丁101番地
ホームページhttps://otagasan-wakayama.jp/

期間限定の贅沢な丸ごと桃パフェをいただく、人気店『ヴェントット』

和歌山といえば果物王国。しかも7月は桃の季節。

桃って美味しいし好きだけど、皮むきや種を取るのが面倒なんですよね…

もしかして季節の果物のパフェを、しかも今なら桃のパフェを食べられるお店があるのでは?

検索すると和歌山城北エリアにヒットした『ventotto – ヴェントット フルーツパーラー』。
青果店が営む大人気店だそうです。

今の時期は桃を食べるべき…!もう口が桃を欲しています。ということで桃のパフェを注文。ちなみに最初にレジで注文してから席をとるスタイル。

いよいよ運ばれてきたパフェ…

丸ごと一個のこのビジュアル!

その日その日の旬の世界・全国の美味しい果物を使い、果物本体の美味しさを存分に味わえるように工夫されているのだとか。圧倒的満足感です。

土日祝日は並んで待つという超人気店。都合がつくようなら平日にお伺いするのが良さそうです。

ventotto – ヴェントット | フルーツパーラー

住所和歌山県和歌山市十二番丁9 1F
営業時間11:00 ~ 18:00
定休日不定休
※ホームページに毎月の営業日が出ますのでご確認を
テイクアウト一部メニュー可
ホームページhttps://ventotto.jp/

紀州徳川家や近代の和歌山市史を知る

最後に訪れた和歌山市立博物館。こちらでは和歌山の土地の成り立ちから、戦国幕末近現代までの史料を拝見することができます。

初代紀州藩主徳川頼宜公の父である徳川家康の教えを記した刷り物、勝海舟が加太友ヶ島を訪れた記録、紀州徳川家が加太の淡嶋神社に奉納したお雛様、紀州徳川家の簪や硯。

さすが紀州徳川家…!!

という収蔵品が並んでいます。和歌山城、わかやま歴史館、そして市立博物館。歴史の長さと徳川という歴史そのものである大きな家の一部。色々と感動いたしました。ほぼ撮影可なのも嬉しいです。

訪れた時期は和歌山大空襲の企画展も(被災者の証言以外は撮影可)。戦前の和歌山の賑やかさ、滞在中訪れた場所の景色。お城が丸ごとなくなっている光景はいち観光客としても大変な衝撃でした。

空襲後の写真を見るとき、「凄い」と感じるのが必ずといっていいほど最初に電車が通れるように整備していること。復興のための資材や人を運ぶためにまず電車を動かすのでしょうが、絶対に復興させるぞという当時の方々の強い想いを感じます。

現代まで発展を想い、博物館を後にしました。

ちなみにこちら流石の市立、なんと100円で入館できます。和歌山市駅からも近いので、歴史好きはぜひとも訪れてみてください。

和歌山市立博物館

住所和歌山県和歌山市湊本町3丁目2番地
入館料一般・大学生 100円(団体80円)
高校生以下  無料
※ただし、特別展期間中は別料金
営業時間午前9時~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日月曜日、祝日の翌日※月曜日が祝日の場合は開館
12月29日~1月3日(年末年始)
ホームページhttp://www.wakayama-city-museum.jp/

お天気自体は微妙ではありましたが、照り付ける猛暑でもなく海風を感じながらで、曇り時々雨は熱中症の心配がほぼなく過ごせたのである意味良かったかもしれません。

幕末歴史巡り。友ヶ島が重要な海防拠点だったり14代将軍徳川家茂公を輩出したりと幕末期政治の中心舞台のひとつといっても過言ではない和歌山。
まだまだ、本当にまだまだ奥深い和歌山、次は和歌山市外も含めまた訪れたいと思います。

こんな人にオススメ!

日本史好き、史跡ファン、庭園好き

訪問日 2023/7/12~14

2022年9月の聖地巡礼
<友ヶ島はこちら> サマータイムレンダ聖地巡礼~神秘の無人島・友ヶ島~
<加太散策はこちら> サマータイムレンダ聖地巡礼~加太のまち散策~
<和歌山市街と田の浦中道はこちら> サマータイムレンダ聖地巡礼~和歌山市街と田の浦中道~

<徳川巡り其の壱はこちら> 紀州和歌山・徳川吉宗公の故郷を巡る~其の壱~
<徳川巡り其の弐はこちら> 紀州和歌山・徳川吉宗公の故郷を巡る~其の弐~

2023年7月訪問
サマータイムレンダ聖地巡礼2023~慎平のカレーと加太&友ヶ島~